2015年3月6日(金)

「写真は印刷やフィルムという〈モノ〉から解放され、電子情報となり、レコードやCDなどのモノに載っていた音楽も今や(デジタルの)mp3ファイルとなった」

読むという行為は一定の時間を必用としており、

「読み手が見て触れる」書物という物質に対して
「接触面」としての意味の重要性は、

音や写真に比べて「格段に高い」

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どうやら大型書店も淘汰の波にさらされているようだ。

池袋の西武デパートに入っているリブロ本店の閉鎖が決まったし、
渋谷では東急プラザの閉鎖とともに紀伊國屋書店が消える。

地方では仙台のジュンク堂が
駅近くの大きな他の二つの書店とともにやはり閉店している。

各店舗の個々の事情はあるにしろ、
書店が稼いでいるのならまず閉店はないだろうから、
経営の厳しさはやはり否定しようがない。


いまや、誰もが知るところの出版市場の縮小だが、
果たしてその実態はどうなのか、現状はどうなのか、

日経が2日の夕刊で取り上げていた。――縮小する
出版市場の現状について具体的な数字をあげながら。
(数値は出版科学研究所の調べによる)

2014年の出版物の推計販売額は
1兆6065億円。

この数字、前年比で見ると、4.5%減で、
1950年の統計開始以来、最大の落ち込み幅
になった。

前年割れは10年連続とのことで、

売り上げのピークだった1996年
2兆6564億円と比べると、

約4割も減少している。

その内訳はどうかというと、

書籍が前年比4%の減で
7544億円
8年連続のマイナス

雑誌はもっと厳しく5%減の
8520億円で、
こちらは17年連続のマイナス

こうして数字をあげるとわかるが、
厳しい「縮小する市場」の現実が18、9年続いており、
この傾向がこの先、いつまで続くのだろうか。

一方、電子書籍・雑誌は拡大基調が続いている。
(インプレス総合研究所の調べ)

13年度の電子書籍の市場規模は28・3%増
936億円。

そのうち8割をマンガが占める

電子雑誌の77億円を加えると、
電子出版市場は1000億円超となる。

出版市場における書籍と電子の比率は現在、
ほぼ10:1の割合だが、

今後この市場比率が果たして拮抗する
5:5までいくのか、どうか、

あるいは逆転する日が来るのか、どうか。

ところで、だいぶ以前にこのブログで

「書籍と、書籍のデジタル化についての違い」と、さらに「その違いとは何を意味するのか」について、取り上げたことがある。

そのとき、

「紙でできた書籍がインタフェースという意味では、
完成され尽くしたメディアだ」
として、

見やすさや利便性などの実用面から判断して
「電子ブックはどこまで紙の本に迫れるのか」

と、東京女子大で哲学を教え、
さらに人工知能と電子メディアの研究者でもある
黒崎政男教授の意見を紹介したことがある。

少し引用しよう。

先生曰く。
「そもそも情報の電子化、つまりデジタル化とは、情報が脱=物質化することだ」と。
「はあ?」である。でもその後を読むと意味が分かった。

写真は印刷やフィルムという〈モノ〉から解放され、電子情報となり、レコードやCDなどのモノに載っていた音楽も今や(デジタルの)mp3ファイルとなった」

で、「書物も紙という〈物質〉から離れ、すべてが電子化されるのだろうか」と、(遊び心でひとまず分かり切った)疑問を投げつつ、読むという行為は一定の時間を必用としており、「読み手が見て触れる」書物という物質に対して「接触面」としての意味の重要性は、音や写真に比べて「格段に高い」と述べている。

そしてもう一つ重要なのは、「紙でできた書籍がインタフェースという意味では、完成され尽くしたメディアだ」という指摘だ。その上で、「電子ブックはどこまで紙の本に迫れるのか」という命題をつぶやく。


話をもどそう。

冒頭で触れた大型書店の閉店にも見られるように、
なんといってもこの出版市場の縮小は、

川下の書店経営に影響を与えており、

2014年5月時点での全国の書店数は
1万3943店。


この店舗数、01年には
2万1000店だったので

13年間で7000店舗減ったことになる。

この苦戦について、上記の出版科学研究所の見方では
14年4月の消費税率引き上げの影響が予想以上に大きいとのことで、

ほかに少子高齢化の影響も大きく、人口が減るだけではなく、
中高年になると老眼などの影響で読書スピードが遅くなり、
おのずと読書量が減るとのこと。

僕はライターだけど、幸いなことに仕事の領域が企業広報の分野がメインなので、
縮小する出版市場とはあまり関係はない。

もっとも一時期、
ビジネス誌や販促誌などの専門誌の仕事をしていたこともあり、

時代の趨勢とは言え、
それなりに出版市場の縮小化を注視している。