2011年3月9日(水)

1990年頃以降のJポップがクラブで受けているという。クラブといえば、大音響の中で若者が曲にあわせて激しく踊るあのクラブだ。

若者の社交場だから、若者以外にとってはクラブの現状などの情報はほとんど無く、まずわからない。しかも首都圏だけの現象ではなく地方のクラブでも人気があるという。

洋楽系アーティスト一辺倒だったはずのクラブはこれまで、「邦楽がダサい、つまらない」という見方だった。その見方に変化が起きJポップが隆盛していると伝えたのは、昨日の日経夕刊の文化欄。

ぼく自身はクラブには全く馴染みのないその上のはるか上の世代で、2000年頃、販促専門誌の仕事でクラブを運営する会社を取材したことがあるが、その時、クラブよりディスコという言葉がぼくの口から出てきて、困ったのを覚えている。もっと言えば、クラブの前のディスコをその始まりから知っている世代だ。

友人の先輩が六本木にディスコをオープンさせ、それをぼくの仕事にさしつかえない範囲でほんの短期間だが、珍しさもあって半ば遊び半分で裏方として手伝ったこともあり、それがせいぜいぼくのクラブならぬディスコ経験。

また音楽経験はどうかというと、兄弟がレコード会社に勤めていた関係上、歌い手の録音風景を若い頃から見学してきてそのクリエイティブなシーンに感動したぐらいで、個人的には皆無といってよい。

ただし仕事で(出版社をもってる)洋楽系では第一人者の音楽評論家に取材したこともあるが、社長室ならぬ彼の机の背後の壁面に、圧倒的な数のディスクジャケットがベッタリと張り巡らされているのを見て、いささか驚き、でもそれって、作家が本をたくさん抱えているのと同じ事で、などと話しを切り出したことを思い出す。ぼくのことはともかく、話しを戻そう

で、「何故、今の若者にJポップが受けているのか」ということだ。若い世代が、まるで180度好みが転換したように音楽の変化を受け入れているのだろうか。

ポイントは二つ。一つは、現代の邦楽よりノリガよくて一緒に歌えるので盛り上がれる。(たとえばプリプリの「ダイヤモンドやチャゲアスの「ヤーヤーヤ」など)

彼ら自身はこれらの曲に馴染みがあっても、それはテレビドラマの再放送やカラオケなどを通じてであり、これらの曲がヒットした当時に彼らが聴いていたということではない。ないけれども馴染みがあるのだ。ノリそのものはカラオケに近いものなのだろう。

二つ目は、90年当時を知らない若者にとってこの当時の音楽に新鮮さを感じるとのことで、それは今の曲よりノリがよいとのことらしい。

その背景には日本のポップスの進化と関係がある。90年当時から日本のポップスはロックをベースにしたダンス音楽をとりいれ、急速に進化した時期なのだ。

で、思うのだが、若者がこうしてJポップを受け入れているということは、彼らの世代の中から、彼ら自身がやがて立ちあげるであろうサブカルチャー(サブのサブかも)などの次元で、あるいはまたその影響下で、しいては流行や商業シーンなどにおのずと真新しいナニモノかを生み出し、何らかの時代的状況をつくりだすのだろうと思われる。Jポップだけを集めて編集したCDが30万枚も売れているというのだから……。