高倉健の映画で納得――かつて途絶していた
オロロンライン
2020年3月30日(火)

「初山別」と書いて「しょさんべつ」と読む。
地名だが、場所はなんとなく文字面から北海道だろうと分かる。
以前読んだ高村薫の小説で初めてこの文字を目にしたとき、
一瞬、何と読むのだろうと思った。
北海道の日本海側にあり、留萌と稚内の真ん中あたりに位置する。
かつてはニシン漁で栄えた初産別の漁場(浜)の様子が、
小説では作家が言葉のかぎりを駆使し
「これでもか、これでもか」というほど、こまごまと描かれる。
最近では「オロロンライン」という、日本海縦断道路が走っており、
北海道ならではの風光明媚な景観を堪能できる。
羽幌(はぼろ)という町が隣にある。
沖合いに天売島(てうりとう)があり、オロロン鳥がいるので、そこから取った名だということが分かる。
半世紀ほど前、その羽幌から東京に出てきた友人がいたし、
四十数年前に僕は旭川から留萌を車で訪れ、さらに稚内に向かった。
あろうことか、羽幌に達する前に道が途中で途切れていた。
途絶しているのだ。
信じられないが、幹線でもない道路なら
それが当時の北海道の現実だったのだろう。
で、今にして思う。当時友人は、どうやって東京まで出てきたのだろう、と。
列車を乗り継いで、あるいは車でだろうか、でも鉄道はあったのだろうか……などと。
初山別、羽幌に触れたのは他でもない、数日前に、
高倉健と倍賞千恵子が共演する懐かしい映画を見たからだ。
そう、ご存知のあの映画「駅 STATION」だ。
留萌や増毛や雄冬が映画の舞台だから、
交わす会話にもそれらの地名が出てくるし、実際の現地も映しだされる。
その映画で二人は、賠償が営む居酒屋で、
テレビで歌う八代亜紀の「舟歌」に聴き惚れる日本映画の名シーンがある。
テレビに映っているのはレコード大賞と紅白歌合戦の映像だが、
それは〈1979年〉の映像だった。
主演の高倉は、年末に実家がある雄冬に札幌から帰省するつもりが、
シケで船が出ず、賠償の居酒屋に入るのだ。
そう、当時は陸続きなのに道路がないので、
船で増毛から雄冬に向かうルートだったのだ。
道路が無かったのだ。
陸続きであっても、利用が限られる以上、険しい自然を相手にして道路を造る理由が認められなかったのだろう。
そのことを今にして知った。
日本海に沿って走る道路「オロロンライン」が整備されたのは2000年頃のことらしい。
なるほど、道路が途切れていて当たり前なのだ、当時なら……。
叶うなら、いや、叶えたいが、再び、あのオロロンラインを今度は稚内まで走ってみたいものだ。
※道路の途絶というのは、あくまで個人的な推論であることは言うまでもない。










