驚きの演技!――米国人大学生たちが本格派の

歌舞伎公演――演目は

三島由紀夫「鰯売恋曳網」(いわしうり

こいのひきあみ)



「鰯売〜」の始まりまではやや長い



演じているのはポートランド州立大学の学生たちで、映像を観て驚くのは「外国人が、よくぞ、ここまでの本格的な上演を」という一事に尽きる。

この映像は、直木賞作家松井今朝子のブログで知った。

松井は松竹時代、歌舞伎の企画制作にも携わっており、フリーとなって歌舞伎の脚色・演出・評論なども手掛け、歌舞伎が題材となる小説(時代物が軸)はもちろん、歌舞伎に関する出版物も少なくない、その道ではプロ中のプロだ。

僕は歌舞伎は素人だから、松井のブログからこの公演についての発言をいくつか以下に貼りつけておく。




「もう何度目かの公演らしく、今年の演目は三島由紀夫作『鰯売恋曳網』(いわしうりこいのひきあみ)で、日本でも近年は中村屋一門の名舞台としてご覧になった方も多かろうと思う。」

「近代の新作とはいえ三島らしい擬古典的作品で、元禄以前の歌舞伎を彷彿とさせる大らかな喜劇だから、観るほうも比較的違和感なく受け容れられる面がある」

驚くのは下座や浄瑠璃まで生演奏で入っており、いずれも外国の方の演奏とは思えないほどしっかり和の音程に適っていて――感心させられた」

「もっと感心するのは戯曲の骨子を大切にして、現行の歌舞伎よりもそれぞれの役を活かして上演している点で、その点は指導者であるL.R.コミンズ教授の知性に負うところ大なのでは

〈鰯売〉の売り声の発声法は狂言の発声法を取り入れたことの証明なのか、劇の途中で〈狂言〉を上演するあたりは日本文化研究者らしい発想かもしれない。」

「また「鰯売〜」では英訳された浄瑠璃を自ら語っているが、これが英語なのにちゃんと義太夫節に聞こえるからスゴイ(!_+)衣裳や鬘も自前のようだし、作り物の馬も出てくるし、歌舞伎の立ち回りもやってのけるし――」

※2022年6月6日の松井今朝子のブログより。太字は引用者による



というように、歌舞伎のプロ松井が、驚きのほめ言葉を連発している。

参考までに、中村屋一門が演じる「鰯売恋曳網」の一部の映像がYouTubeにあるので、こちらを。

https://www.youtube.com/watch?v=UtC7oBwPhxs