外食レジェンドの挑戦!76歳創業の80歳
「また行きたくなる」珈琲グルメ店
「TVer」で村上龍「カンブリア宮殿」を観る。
今回登場した信じがたいほど元気な経営トップに、
思わぬ活力をいただく。
登場したのは「外食のレジェンド」として
業界では知らぬ者なしと言われる超大物。
この人4年ほど前に76歳で創業し、
現在店舗数19の「高倉町珈琲店」(本社・新宿)の
会長でおんとし80歳。
見かけはもちろん、打てば響く軽快なる発言振りは、
まるで60歳そこそこという生気溌溂ぶり。
「外食50年戦争」を戦い抜い抜き、
今また現役として挑むこの人物とは、
あのスカイラークグループ(最大時4000店舗)のトップだった人物。
そう、横川四兄弟の三男坊・横川竟(きわむ)がその人だ。
繰り返すが、映像を観ているだけで、
キビキビとしたこの人の生命力あふれる姿と、
外食50年戦争で業界のあらゆることを知りつくしたその発言から、
観ているこちらは言い様もなく説得されて鼓舞され、
大いなる刺激とやる気をいただいた。
この人、今はもうスカイラークのトップではない。
2008年、当時としては
国内最大のMBO(マネジメント・バイ・アウト=経営陣の株式買取だが、
このときは創業家での株の買い占め/2600億円超)を仕掛け、
株式非公開に踏み切り、結果としてトップを解任されている。
経済記事として当時大きなニュースになった。
ところで、スカイラークの本社(や本部機構)は
僕が住む同じ町内(武蔵野市)にある。
また、個人的には以前、
当時まだ新宿西口の高層ビルに入っていた本社を
雑誌の取材で訪ねたこともある。
とまれ、本部機構は一貫して同じ町内にあり、
つまりはお隣さんである。
番組でも言っていたが、
この人の最大の武器は
50年かけてつちかった「徹底した客目線」とのこと。
とにかく「客が喜ぶ店を作りたい」の一心で挑みつづけてきた。
「店というのは、入りやすく、座りやすく、注文しやすく、食べやすく、
『また来たい』とならないとダメ」
この横川発言も含めて、映像を観ていると、
レジェンドならではの次々と繰り出される説得力あるもの言いに、
得心して大きくうなずける。
たとえば「座りやすく」だが、
高倉町珈琲店のソファーはゆったりとした特注の製品で、
文字通り「座りやすく」て、客にも「おや、このソファー」と
気づかせるだけの座り心地で好評だ。
まだある、それも従業員向けに、だ。
働く者にも喜びをとのことで、
パート従業員向けに「株式分配制度」まで導入している。
価格は100株で5000円。今期は配当として3000円が支払われている。
これはパートの立場に対してまで「仲間意識」を
考えてくれているとして、
パートさんがありがたいと語っている。
さらにユニークなのは社内フランチャイズ制度だ。
基準を満たした直営店の店長は
既存店のオーナーとして独立できるのだ。
優秀な店長に外食ではたらく「やりがい」を感じてもらいたい、
とのことで設けた制度だ。
これはつまり、
商売はできてもお金のない人に独立させようという制度だ。
目指すは「客だけでなく、働く人も喜ぶ外食企業」
毎回、この番組に登場するトップ連中は
それなりに説得力があるけれど、
今回のトップは僕には個人的に感心した次第。
お隣さんだからではなく、
ホントにこの80歳になるオジサン(おジイさんにはとても見えない)は、
精力的な経営者である。素晴らしい!
2018年5月25日(金)
※文中の用語やフレーズの一部は「カンブリア宮殿」より引用