玉川上水(武蔵野市)の事務所から…

ライターの仁です。企業広報分野でIR(Investor Relations)などの仕事をしています。折々の、あることないことで、気にとまったことを発信します。

March 2017

東日本大震災から6年――被災地の田舎に、ただただ黙祷

2017年3月11日(土

あの日、あの時から6年。

ぼくの田舎町の沿岸地区は被災地なので、
ひたすら3月11日は黙祷するのみ。

あの日の2時46分、僕は
有楽町駅前の東京フォーラムの展示会会場にいた。

あれだけの大揺れを味わったのは
人生はじめてのこと。

どでかい鉄骨の組み合わせでできた建造物だけど、
全身はガラスの巨大な船のような建物構造。

建物はつぶれなくとも
ガラスが粉々になって降ってくるのではないのかとの恐怖を覚え

恐怖におののきながら
半ばうろたえつつ建物を後にして有楽町の駅前に。

恐れおののく人波でごった返す駅前の空間と、
有楽町駅を前方にして

高架上に停まっている新幹線のどこかうつろな姿は忘れない。

有楽町駅のテレビでだったか、
仙台空港に押し寄せる津波の映像を見て衝撃を覚えた。

田舎町の実家が気になり電話したが、
つながらない。

電車が動かないのでその夜は
三菱村(丸の内)の大きなビルの床通路で横になった。

さすが三菱村、
シートや毛布や水などを提供してくれた(感謝)。

実家は海岸から4、5キロ離れた町の中心部だから
災難は逃れた。

翌日から罹災した親戚二組の家族が実家で暮らし始め、
一気に14、5人の生活がはじまった。











あなたの読解力が試される――短編にして長編級の重量感で読ませるノーベル賞作家


あなたの読解力が試される

――短編にして長編級の重量感で読ませる

ノーベル賞作家






アリス・マンローの短編集『イラクサ』から
「恋占い」と「浮橋」を読了。


イラクサ



たったの二編だけど、
短編に抱いていたイメージをいともたやすく覆される。



短編なのに、話の展開が一様ではなく、
あるところは濃密に入り組んだり、



あるところは読み手を突き放すような展開だったりと、
独特の技巧が示される。



読解力を試される小説と言える。



スラスラ読めない。忍耐力を要求される。




ぼくには初めての作家。「短編の女王」とも称され、
カナダ人でノーベル文学賞を得ている。



村上春樹の新刊『騎士団長殺し』が先週発売されたけど、
村上の読みやすさ(あるいは現代の多くの作家)とは裏腹に、



繰り返すけど、実に読みにくい。
(もちろん、読みにくいのもありだよ)



この作家を柳美里の「柳美里新聞」で知った。



彼女が次のような意味合いで
マンロー作品の衝撃を語っていた(最後に、柳の発言の引用あり)。



「短編だけど、
まるで長編小説を読んだ後のような重量感や読後感を感じる。」




興味を覚えて読んでみた。



いや「読んでみた」と言えるほどスムーズに読み進めなかった。



実に読みにくい。
でも、この読みにくさがこの作家の持ち味と言える。



部分的に、必要にして最小限の表現や説明だったり、
いきなり話が変わったり――。



だから、読んでるこちらは、
半ば苛立ちや疑問符を抱きながら読みすすむことに。



読み手は、身構えつつ、
さらにまた身構えて読むことを強いられる。



何度も前に戻って読み返すことを強いられた。



それが読み手に、苛立ちをいだかせる一方で、
作品の重みともなって伝わる。



同じ技巧(仕掛け)でも、



ミステリーの〈謎〉とはまるで次元の異なる
巧妙にして巧緻な「小説技巧」の展開。




これもまた小説を読む悦楽であり、快楽――と言いたいが、
とても快楽を味わうなどとという、生易しい作品ではない。



読み手としてかなりの手練れと言える人だろう、
この作品を手にして、快楽とか悦楽とか言える人は。



それからノーベル賞作家の作品だから、翻訳者にはそれなりの
実力者が起用されているはずと好意的に思いたいが、



読んでいて、翻訳にも多少の不可解さを感じた。



とまれ、これはもう、読み手が試される、
読み手の力量が問われる作品だ。




たったの二作にして、
しかも短編で――その重量感、どっしり感を味わう。



こんな短編も、作品も初めて――。





※下記は柳美里新聞からの引用


「素晴らしい短編小説とは何か。


日本文学において
名作と言われる短編を読んでみると、


省略方法というか、
切り口の鮮やかさが印象に残ります。


でも『イラクサ』を読んでみると、
まったく違うのです。


人生に差し込む一瞬の愉悦、


人の心の奥深いところに留まる秘密、


その光と影を驚くべき手法で交錯させています。」 



「素晴らしい長編小説は、


登場人物と共に一つの人生を行き終えたような
重量感を与えてくれますが、


短編小説でもその重量感を味わえる、


ということが、わたしにとっては衝撃だったのです。」





2017年3月1日(水)







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